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東京初のワイナリー 大泉学園「東京ワイナリー」

Vol.87 / 2019, 01

「ワイナリーでワインが飲みたくなったら、山梨や中伊豆まで出かけないと…。」昨今、そんな常識が変わりつつあります。西武池袋線・大泉学園駅から徒歩10分の閑静な住宅街。ここに、東京初のワイナリーがあります。その名も「東京ワイナリー」。情熱あふれる女性醸造家がつくったマイクロワイナリーが、2014年のオープン以来、日本ワイン好きに注目されています。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.87

東京のブドウで作った
都産都消の濁り生ワイン
ブドウの個性を引き出した
手作り新酒を限定出荷

このお店のオーナーで醸造家の越後屋美和さんは、かつて大田市場の仲卸で働いていました。そこで練馬区の農家さんと出会い、「東京でもこんなにおいしい野菜や果物が作られていることを、もっと多くの人に知ってもらいたい」と一念発起。100%ブドウだけで作るワインが、最も素材のよさをダイレクトに伝えられる製品だと確信し、醸造技術を学んで免許を取得、2014年に東京で初めてのワイナリーを立ち上げました。

東京ワイナリー オーナーの越後屋さん

「23区で最も農地面積が広く、自然に溢れている練馬区で、東京のワイン造りをしたいと横浜から引っ越してきました。ここは東京23区で唯一の牧場が残っていたり、JAの農産物共同直売所も近くにあります。この場所から都内でもぶどうをはじめ、おいしい農産物をつくっていることを発信し、ワイン造りもみなさんに体験してもらいたい」と思いを語る越後屋さん。

東京ワイナリー

改装前は新聞配達店だったという建物は、表はオシャレなカフェ兼ショップ。カフェの奥がワインの醸造室となっています。

カフェの奥に通していただくと、ひんやりとした空気とほのかな酵母の香りが漂いました。東京のブドウは8月頃が収穫期で、仕込みが終わっているため、取材に伺った1月は、2018年物のさまざまな品種のワインが保存されている状態でした。

保存されているワイン

東京ワイナリーのワインは、仕込みから約1ヶ月で出荷する「練馬ヌーボー(11月)」から、シャルドネやメルローなど長めに醸すものでも7〜8ヶ月くらい、翌年の秋口までの1年売り切りであることが基本。消費地で醸造しているからこその、できたてのワインの面白さがあります。

また、ワインの酵母をボトル内に残している「無濾過・無清澄」。なるべく何も足したり引いたりしない、濁り生ワイン(※)が特徴です。

※ 生ワインとは:濾過をせず、加熱殺菌もしないワインのこと。酵母をボトル内に残しているのでワイン本来のフレッシュでフルーティーな味わいが特徴です。

「東京産のブドウ」で作るワインができるまで

国立市の「ヤマブドウ」や国分寺市の「キャンベルアーリー」、日野市の「高尾」など、東京産のブドウを使ったワインが「東京ワイナリー」の代表作。ブドウは8月頃が収穫期のため、例年8〜10月頃の3ヶ月間に集中して仕込みを行います。繁忙期には、仕込みのお手伝いにボランティアを募集しています。ワインを愛する方は、協同作業でワインづくりを体験してみてはいかがでしょう?

① ブドウの収穫

ブドウの収穫

東京のブドウは8月が収穫期。イベントとしてお客様有志を募り、畑仕事や収穫の手伝いに行くこともあるのだそう。

② 除梗(枝を取り除くこと)破砕

除梗

運び込んだブドウを、手動式の除梗破砕機で粉砕します。

③ 搾汁

搾汁

プレスして汁を搾ります。だいたい1kgのブドウから、ボトル1本分のワインがつくれるのだそうです。

④ 発酵

発酵中のコンコード種

こちらは、野生酵母のチカラでブクブクと発酵中のコンコード種。

⑤ 熟成

ステンレスのタンクに入れて熟成
樽での熟成

ステンレスのタンクに入れて熟成。タンクはおよそ700本分。また近年、一部のブドウは樽での熟成も試みています

⑥ 瓶詰め

瓶詰め

ボランティアを含め数人で、瓶詰め、コルク打ち、ラベル貼りまですべて手作業です。

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。