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大人のクリスマスを楽しむ 世界のクリスマス菓子大集合!

Vol.37 / 2014, 11

日本のクリスマス菓子といえばイチゴのショートケーキですが、本場ヨーロッパでは国や地域ごとに異なる伝統菓子を大切にしています。そこには宗教的な意味合いや風土、気候などが反映しているようです。少しずつ日本でも知られるようになってきた、各国のクリスマス菓子を紹介します。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.37

日本でも知られてきた定番クリスマス菓子

1. ドイツのシュトレン(Stollen)

1. ドイツのシュトレン(Stollen)

11月の最終日曜日からクリスマスイブまでの4週間を、キリスト教では「アドベント」と呼びます(※1)。イエス・キリストの生誕を待ちわびる期間として、ドイツではこの期間、各街でクリスマスマーケットが開催されます。また、子どもたちのために紙や布でつくった1日から24日(25日の場合もある)までのカレンダーのポケットにイラストやお菓子を入れておいたりします。

ドイツのクリスマス菓子の代表「シュトレン(Stollen)」は、もともとは修道院でクリスマス前の断食期間に食べていた粗食だったといわれています。その後改良され、酵母の入った生地に、レーズン、レモンピール、オレンジピールを練りこんで焼き上げたケーキの表面には粉砂糖がたっぷりかかったものになりました。この他にもマジパンが入ったものやラム酒入りの大人向けのものもあります。パンの形と白い砂糖は、純白のおくるみに包まれた赤子のイエス・キリストを表しているそうです。

「シュトレン」はアドベントごとに薄く切り、少しずつ食べてクリスマスをお祝いします。非常に日持ちがするお菓子なので、1ヶ月程度かけてゆっくり味わうのが本来の食べ方だそうです。

一方、同じドイツでもクリスマスマーケットで有名なニュルンベルクでは「レープクーヘン(Lebkuchen)」と呼ばれるクッキーを飾るのが中世から始まる伝統です。はちみつたっぷりの生地にシナモン、グローブ、コリアンダーなどの香辛料が入った大きめの薄焼きクッキーを、アイシングやチョコレートでデコレーションします。

レープクーヘン(Lebkuchen)

※1 アドベントについて...キリスト教の主要な教派である西方教会の習慣であり、東方教会ではアドベントはありません。11月30日前後の日曜日からクリスマスイブまでの約4週間を指し、毎週1本ずつろうそくに火を灯して、罪を悔い改める「アドベントリース(アドベントクランツ)」という習慣もあります。

2. フランスのブッシュドノエル(Buche de Noel)

フランスのブッシュドノエル(Buche de Noel)

フランス語で「クリスマスの薪」という意味のクリスマスケーキ。どうして薪のかたちなのでしょうか?

クリスマスの前の晩、一晩中火を絶やさないために特別な固い薪を選び、木の葉とリボンで飾りつけ、家族の長によって油や蒸留酒、時には聖水で祝福を与えたあと暖炉に火をくべました。そしてその暖炉の灰を大切に保存し、次の一年間、稲妻や悪魔から家を守るお守りとしたそうです。(※2)
フランスのアルザス地方で12世紀頃に始まったこの習慣は、ヨーロッパ全土に広まりましたが、19世紀頃には鋳物のストーブの登場と共に姿を消しました。代わりに、クリスマスのテーブルの中心に飾り付けた薪を飾るようになり、今ではケーキへと変わったそうです。
ちなみに、日本で買えるブッシュドノエルはチョコレート味やコーヒー味で、茶色い木を模したものが一般的ですが、本場ではピンクやイエローなどのカラフルなケーキもつくられるそうです。

※2 クリスマスの薪については諸説あります。

3. オーストリアのクグロフ(Gugelhupf、Kugelhopf)

オーストリアのクグロフ(Gugelhupf、Kugelhopf)

「グーゲルフップフ(クグロフはフランス語)」は、オーストリアのクリスマスに欠かせないお菓子。オーストリアから嫁入りしたマリー・アントワネットがフランスへ持ち込んだものだとも、それよりはるか昔、キリストの誕生を祝う東方の三博士が家に泊めてもらったお礼に焼いたものだともいわれています。
フランス、スイス、ドイツ、オーストリアの各地に自慢のクグロフがあり、同じ味がないといわれるほど。パウンドケーキに近いものやブリオッシュのようなパンに近いものから、なかにはベーコンなどを入れた塩味のクグロフもあるそうです。
あの王冠のようなクグロフ型で焼けばすべてクグロフともいえますから、我が家オリジナルの味を創作してみるのもいいですね。

コラム

クリスマス「ショートケーキ」は日本のオリジナル!

ショートケーキ

日本におけるクリスマスケーキは、大正時代に不二家が初めて販売し、一般家庭に冷蔵庫が普及した1950年代から広まったとされています。マジパンでできたサンタクロースやクリスマスツリーからろうそくやチョコレートなどで飾った華やかなスタイルのケーキは、日本や韓国だけの文化のようです。

ちなみに中国でクリスマスを祝うようになったのは最近のことですが、クリスマスイブに、きれいにラッピングしたリンゴを贈るという習慣が広まっているようです。なぜかというと...クリスマスという意味の中国語「平安夜(ping-an-ye)」とリンゴ「苹果(ping-guo)」の発音が似ているので、しゃれっ気で「平安果」と言い換えて誰かが売り出し始めたといわれています。

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