ココジカ

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進化する配達サービス 都心のフードデリバリー集合

Vol.104 / 2020, 06

デリバリーサービス一人前でも頼めるデリバリー
クオリティ競争も激化
デリバリーサービス

一見すると同じようなサービスに見えるものも、その成り立ちが全く異なっています。まずは最近、まちなかで目立ってきている「Uber Eats」の特徴から見ていきましょう。

Uber Eats(ウーバーイーツ)

Uber Eats(ウーバーイーツ)

Uber Eatsはアメリカ発のライドシェアサービスから派生した料理宅配サービスです。自分では配達員を確保できない飲食店と、すきま時間を使ってアルバイトしたい人をアプリで結びつけた「ギグエコノミー(ネットを通じて単発の仕事を請け負う)」の代表例として注目されています。

日本では2016年からスタートしていましたが、今年はテイクアウトに取りくむレストランが著しく増えたおかげで、ぐっと身近になりました。対象エリアは全国の主要都市に広がり、東京23区はほぼ全域がカバーされています。

アプリに配達員の名前と顔写真が表示されたり、配達状況をマップ上で確認できたり、到着見込み時間が分単位でわかるという安心感も、従来の出前サービスから比べるとITによって大きく進化している点です。都心では朝の8:00から深夜1:00までUberEatsを利用できることもあります(原則は9:00から)。

また、Uber Eatsは配達先を自宅以外に指定することもできます。たとえばピクニック先の公園とか、自室を知られたくない女性が共用エントランスの前で受け取るなどといったことも可能です。

ただし配送手数料が複雑という難点も。レストランと届け先の距離や、稼働している配達パートナーが近くにいるかそうか、混雑する時間帯は追加料金が加算され、雨天の日も加算...というように条件によって細かく変わり、50円〜1,000円以上までの幅があります(※1)。需要と供給をリアルタイムに計算していて、なんだか「セリ」に近い仕組みですね。それに加えて一律10%のサービス料と、料理金額が700円未満の場合は少額注文手数料としてさらに150円が請求されます。

※1 Uber Eatsの料金体系はひんぱんに変更されるので利用時点で異なる場合があります。

Information

Uber Eats

Webサイト
https://www.ubereats.com/jp/
アプリの
ダウンロード
App Store
https://apps.apple.com/jp/app/uber-eats-のお料理配達/id1058959277
Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ubercab.eats&hl=ja

配達費が明確な「出前館」

配達費が明確な「出前館」

一方、「出前館」は2000年より日本全国の飲食店の出前をカバーしてきた歴史の長いデリバリーサービス。加盟店数は日本一の約2万1000店もあり、ナショナルチェーン店をくまなくカバーしているので、ネット特典やお得なクーポンが豊富なことが魅力です。

またUber Eatsよりも料金設定がシンプルで、支払いは表示されたとおりの「商品代金+店舗ごとに設定された固定の配送料」のみです。

出前館では、注文後のキャンセル手続きはアプリ上で行えず、直接店舗に問い合わせる必要があります。すでに配達を始めていたり、連絡が遅れたりするとキャンセルできないケースもあるので注意が必要です。

ちなみにLINEアカウントを使って注文できる「LINE デリマ」も、出前館のシステムを使っています。今年3月には出前館とLINEの資本業務提携が行われ、今後はデリバリーだけにとどまらず、テイクアウト、イートイン予約、モバイルオーダー、クラウドキッチンなど飲食店のITサービスを総合的にカバーするプラットフォームを目指していくとのこと。たとえば4月から「知られざる地方の名店の味を首都圏でも楽しめる」というサービスを開始。第一弾は、JALのファーストクラスでも人気だった仙台の高級中華店「楽食健美 KUROMORI 」の担々麺などが出前館で東京にいながら注文できます。

Information

出前館

Webサイト
出前館
https://demae-can.com/
KUROMORI EXPRESS
https://demae-can.com/shop/menu/3042675/
アプリの
ダウンロード
App Store
https://apps.apple.com/app/apple-store/id405489166
Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.demaecan.androidapp

地元の有名店がみつかる「finedine(ファインダイン)」

地元の有名店がみつかる「finedine(ファインダイン)」

無店舗寿司「銀のさら」や宅配御膳「釜寅」などをてがけている会社が、自社の事業で築いた拠点ネットワークを、近くのレストランにも広げて宅配代行サービスを行っているのが「ファインダイン」です。最低配達金額は税込1,500円〜(配達地域や提携先レストランによって異なる場合もあります)、配達サービス料は配達合計金額の15.0%(郊外エリアでは380円)と、手数料が値頃で明快です。

サービス地域は東京都および神奈川県の一部で、提携レストラン数もあまり多くはありませんが、良質な地元の有名店が揃っていること、配達スタッフは基本社員で安心、配達状況が確認できるトラッカー機能が付いていること、クレジットカードと現金払いのどちらでもOKなことなど、ユーザーにとってのメリットは十分。エリアを検索して好みのお店が見つかったならチェックしておく価値大です。

Information

ファインダイン

Webサイト
https://www.finedine.jp/
アプリの
ダウンロード
App Store
https://apps.apple.com/jp/app/finedine/id1346475104
Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.finedine.android.ec

店主とお客の温もりのある場を再現した
「Chompy(チョンピー)」

店主とお客の温もりのある場を再現した「Chompy(チョンピー)」

DeNAのゲーム事業などを手がけてきた若手が独立起業し、先行する各種デリバリーを研究してより使いやすく改良、利用者に共感されるサービスを目指して2020年2月にスタートしたサービスが「Chompy」です。

「Chompy」の特徴は最初からスマホ専用アプリとしてつくられているため、スマホでの閲覧と注文が非常にスムーズなこと。また、各店は料理人の顔写真入りでメッセージが添えられており、地元のお店の人とのつながりを感じながら料理を楽しめる仕組みがあることです。お店に感想や感謝の言葉を伝えたり、配達する人へのフィードバックもできるなど、温もりのあるコミュニティづくりを追及しています。

現在はオープンβ版で、配達エリアは渋谷駅を中心とした3km圏、時間帯は11:00〜21:00(2020年6月3日現在)、手数料は300円(税込)〜。3人以上で注文すると配送料がグループメンバー間で自動的に割り勘になる「グループ注文機能」も付いています。IT企業が集中する渋谷エリアで、おいしいオフィスランチを求める若い世代から注目されているサービスです。

Information

Chompy(チョンピー)

Webサイト
https://chompy.jp/
アプリの
ダウンロード
App Store
https://apps.apple.com/jp/app/id1489433617
Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.syn_inc.chompy&hl=ja

渋谷で新しいデリバリーサービスChompyを開始した大見周平社長が、ココジカのインタビューに応じてくれました。

Chompy

「隣の韓国では日本の何倍もフードデリバリー文化が進んでいますし、スーパーマーケットが普及していないインドなどでは生鮮品も宅配アプリで手に入るようになっています。将来の自動運転の時代も見据えると、これから日本らしい都市型のデリバリーサービスが育ってくると確信しています」。

大見周平社長がChompyを構想したきっかけは、自身のDeNA子会社社長時代の食生活。渋谷で働いていてもランチタイムはレストランが激混みで入れない、妻も仕事を持ち、帰って夕食を作ると食べ始めるのが21時過ぎになってしまう、平日の仕事終わりに外で食べるのも疲れるし、そもそも外食は味が濃い...等々、たくさんの食生活の不満があったそうです。

「部屋着でくつろぎながら家族と食事したいのに、駅近くにあるのはジャンクフードやチェーン店ばかりで『本当においしい店の料理が食卓に届かない!』というジレンマを解消したくてChompyを始めました。職場から『このお総菜を何グラム』と注文しておき、1時間後に帰って受け取るといったような、毎日使えて食生活に豊かさを実感できるサービスを目指しています」と大見社長。

Chompyのアプリ画面。
Chompyのアプリ画面。

そのためにこだわっているのは、配送料金を割り勘して低く抑えられる「グループ注文」のような機能と、立地的には不利だけれど良質な小規模店の強い味方になること。将来的には、日本の優れた料理人の海外進出を支援するような、中食市場のインフラとしての機能を整えたいと目標を語ります。2020年2月のスタート時点で提携店は渋谷区を中心に150店舗を越え、夏以降には配達エリアの拡充も計画しているそうです。


外食産業のマーケティング調査会社によると、フードデリバリーの主要7社の利用者は「一人で食べる」が約40%だそう。それに対してお店に直接デリバリーを頼んでいる利用者は「子どもや同僚と一緒に食べる」と答えた人が最も多いという違いが出たそうです。

やっぱり、実感として、私たちはおいしいものを誰かと一緒に食べたいものなのだと思います。価格やスピードより、おいしさや好みの味を求めて、デリバリー料理を選ぶ楽しみ。そんな豊かさが広がる予感に満ちていて、ますますこれからが楽しみになった取材でした。

※この記事は2020年6月4日時点での情報です。

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。