ココジカ

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「生活の居間」としての美術館 ~サントリー美術館~

Vol.14 / 2012, 12

「『生活の中の美』を一人でも多くの人に楽しんでいただきたい」という思いのもと、1961年に開館したサントリー美術館。2007年には赤坂見附から赤坂9丁目の東京ミッドタウンへと移転し、同エリアにある森美術館・国立新美術館とともに日本のアート界を盛り上げています。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.14

サントリー美術館

外観2(C)木奥恵三
外観2(C)木奥恵三

「『生活の中の美』を一人でも多くの人に楽しんでいただきたい」という思いのもと、1961年に開館したサントリー美術館。2007年には赤坂見附から赤坂9丁目の東京ミッドタウンへと移転し、同エリアにある森美術館・国立新美術館とともに日本のアート界を盛り上げています。

赤坂9丁目に移転し、新しくなったサントリー美術館のミュージアムメッセージは、「美を結ぶ。美をひらく。」――中世や近代など時代の枠組みにしばられずに「古きもの」と「新しきもの」を結ぶ、国や民族などの文化の境界にとらわれずに「東」と「西」を結ぶなど、何かと何かを大胆に結ぶことで「新しい発見」「知的感動」「人と美の新しい関係」がひらかれる。というものです。

人々が安らげる空間作り

4階ロビー
4階ロビー(C)木奥恵三

そのメッセージを体現しているのが、同館の建築デザイン。「都市の中の居間」としての居心地の良い美術館をコンセプトにしたもので、日本の伝統と現在を融合させた「和のモダン」を基調にしています。館内では木と和紙を用いて、和の素材ならではの自然のぬくもりや柔らかい光を表現。人々が安らげる空間づくりを実現しています。

展示室がある3階には9.3mの高さを誇る豊かな吹き抜け空間があるほか、2枚の格子をスライドして光の具合を調節する「無双格子」などを設置。外から入る一切の光を遮断した展示空間から、緑あふれる景色を楽しむ憩いの空間まで、さまざまな表情を見せることを可能としています。外観は白磁の縦格子で覆っており、透明感を演出。なお、設計は以前『ココジカVol.12』に登場した「根津美術館」を手掛ける建築家・隈研吾氏によるものです。

3階展示室
3階展示室(C)木奥恵三
3階吹き抜けスペース
3階吹き抜けスペース (C)木奥恵三
茶室
茶室(C)木奥恵三

同氏がサントリー美術館の設計コンセプトを「都市の中の居間」とした理由には、「都市の室内化」という背景があります。「通信と移動のテクノロジーが、かつて物と物との間に存在していたすべての距離を消滅させ、都市全体を一つの大きな家の『室内』へと変貌させつつある。その大きな家の中には廊下はたくさんあるし、食堂もたくさんあるが、ゆったりとくつろげる『居間』はない」と同氏は述べられてます。(サントリー美術館ホームページより)。

開館当初からのテーマを「生活の中の美」としているサントリー美術館だからこそ、現代の都市に存在する「居間」になり得たのです。都心で働く人をはじめ、全国の人々から安らぎの空間として親しまれる同美術館。皆さんも東京の中にある「生活の居間」で新しい美を発見してみてはいかがでしょうか。

【ちょっと知りたい、まめ知識】

2013年1月20日(日)までサントリー美術館で開催されている「森と湖の国 フィンランド・デザイン」。フィンランドのガラスや陶磁器などを紹介していますが、展示の際には阪神大震災以降に開発された免震台を使って展示しています。免震台では横揺れを、また各美術品の素材に適した固定材をつけることで縦揺れを吸収。貴重な美術品の数々を守るための工夫をしています。

サントリー美術館

【住所】
東京都港区赤坂9-7-4
東京ミッドタウン ガレリア3階

【電話番号】
03-3479-8600

【開館時間】
10:00~18:00
※金曜・土曜は20:00まで開館
※2012年12月23日(日・祝)、2013年1月13日(日)は20:00まで開館
※2012年12月28日(金)、29日(土)は年末のため18時で閉館

【休館日】
火曜日、展示替期間、年末年始 [2012年12月30日(日)~2013年1月1日(火)]

【入館料】
■特別展
一般・学生(高校生・大学生):展覧会によって入場料は異なる
中学生以下:無料

【アクセス】
■都営地下鉄大江戸線「六本木駅」出口8より直結
■東京メトロ日比谷線「六本木駅」地下通路にて直結
■東京メトロ千代田線「乃木坂駅」出口3より徒歩約3分



【公式ホームページ】
http://suntory.jp/SMA/

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。