ココジカ

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空にある、日本の文化発信地。~森美術館~

Vol.10 / 2012, 08

六本木ヒルズ森タワーの最上階(53階)に据えられた森美術館。現代アートを中心に絵画・建築・彫刻・ファッションなど、さまざまなジャンルにおいて独自性の高い企画展示を開催しており、世界中の多種多様な文化を一目見ようと年間140万(2011年度)もの人が同美術館に足を運んでいます。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.10

森美術館

センターアトリウム、森美術館
センターアトリウム、森美術館

"文化都心"というコンセプトを掲げた、六本木ヒルズを代表するスポットの一つである同美術館は、展示のほかにも「アートに出会う喜び、アートを知る楽しさ、アートについて積極的に語り合う機会を提供する」ための「パブリックプログラム」という教育普及活動に取り組んでいます。また、2005年からはアジアを中心とする世界各国の才能豊かな若手アーティストに注目し、小規模な展覧会シリーズを開館当初から継続的に開催するなど、芸術文化を育て・広める文化発信地としての役割も担っています。

建築物として見る美術館

ミュージアム・コーン、森美術館
ミュージアム・コーン、森美術館

森美術館の設計を手掛けたのは、ホイットニー美術館をはじめとする40以上の美術館やギャラリーを設計した、国際的に著名な建築家のリチャード・グラックマン。総面積2000平方メートルを誇るフロアには6つのギャラリースペースがシンメトリーに配置されており、建物上部から光が射しこむ4つのギャラリーのほかに、建物の最端部まで延びる南北2つの小ギャラリーを備えています。小ギャラリーは、光り輝く半透明のガラス箱のようなデザインが特徴的で、52階の展望台上に浮かんでいるようにも見えます。

ミュージアム・コーン、森美術館
ミュージアム・コーン、森美術館

森美術館のもう一つの建築的特徴といえば、「ミュージアム・コーン」と呼ばれる美術館専用の入り口。森ビルのある六本木ヒルズ全体を象徴する、存在感あふれるデザインが美術館に訪れる人々を出迎えています。ガラスによってつくられた「ミュージアム・コーン」は、夜になると隣接する日本庭園に温かい光を放ち、さながらガラス提灯のよう。中に入ると、なだらかな曲線を描くらせん階段から日本庭園を眺めることができます。なお、美術館天井部のアトリウムの中心には半透明のガラス製オブジェが浮かんでおり、「ミュージアム・コーン」を連想させるデザインとなっています。

"建築"という視点で美術館を見れば、また新しい視点でその空間を楽しむことができるはず。足を運んだ際には、数々の展示物のほかに"建築物"としての美術館にも注目し、その素晴らしさを是非体感してみてください。

【ちょっと知りたい、まめ知識】

2003年10月に開館した森美術館を皮切りに、国立新美術館(2007年1月)、サントリー美術館(2007年3月)が相次いでオープンするなど、日本有数のアートエリアとして盛り上がりを見せる六本木。3つの美術館を地図上で結ぶと三角形になることから、「六本木アート・トライアングル」として、さまざまな連携に取り組んでいます。

現代アートの作品が展示されるまで

さまざまな素材が用いられる、現代アートの作品。そのために、美術館にとっては海外から美術品を輸送する際に、税関を無事に通れるか心配になる作品があるといいます。 森美術館で2008年に開かれた「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」に出展された、ダミアン・ハーストの「母と子、分断されて」というホルマリン漬けの牛の作品は「食肉」として輸入するのではなく、「美術品」であるということを理解してもらうためにキュレーター(※日本でいう学芸員)が2度も税関を訪れ、作品の意図を一から説明し、ようやく通関できたとのこと。 ほかにも、「作品以外のものを詰め込んだことで通関されない」など、美術品の国際輸送における、予想外のハプニングはつきものです。これらの問題に美術館スタッフが柔軟に対処することで、キュレーターが選んだ作品は無事、美術館で展示され、私たちの目に触れられることになります。

森美術館ロゴ

森美術館ロゴ

【住所】
東京都港区六本木6-10-1
六本木ヒルズ森タワー53階

【電話番号】
03-5777-8600
【開館時間】
月・水~日曜日 10:00~22:00
火曜日 10:00~17:00
※最終入館時間は閉館30分前

【休館日】
企画展の開催会期以外は閉館している場合があります。展覧会の会期情報は森美術館公式ホームページにてご確認ください。

【入館料】
一般:1,500円(前売り1,200円)
学生(高校・大学生):1,000円(前売り900円)
子ども(4歳~中学生):500円(前売り500円)
※上記の入館料で、同時開催の「MAM プロジェクト」展および展望台 東京シティビューにも入館できます。

【アクセス】
■東京メトロ日比谷線「六本木駅」徒歩0分 (コンコースにて直結)
■都営地下鉄大江戸線「六本木駅」徒歩4分
■都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」徒歩5分
■JR渋谷駅から都営01系統バス(渋谷~新橋)「六本木六丁目」下車
■JR渋谷駅から都営渋88系統バス(渋谷~新橋)「六本木六丁目」下車

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。