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伝統と革新が共存する、美術館の殿堂~ルーヴル美術館~『ダ・ヴィンチ・コード』より

Vol.8 / 2012, 06

記録的な興行収入となった映画『ダ・ヴィンチ・コード』の舞台として登場する、パリの「ルーヴル美術館」。展示されている美術品はもちろん、バロック様式からなる建築美を一目見ようと、世界中の人々が足を運ぶ場所です。開館から200年以上経った今なお、伝統と革新が共存する「美術館の殿堂」として人々を魅了しています。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.8
ミロのヴィーナス
(C) Monkey Business - Fotolia.com

ルーヴル美術館

アメリカのメトロポリタン美術館、ロシアのエルミタージュ美術館と並び、世界三大美術館の一つとして知られるルーヴル美術館。「モナ・リザ」や「ミロのヴィーナス」などをはじめ、国境と時代を超えた絵画・彫刻・工芸品など美術品30万点以上が所蔵される同館には、多様なコレクションを一目見ようと、年間850万人を超える人々が世界中から訪れています。

ルーヴル美術館の歴史

展示されている美術品もさることながら、建築物そのものが芸術品としての価値を持つルーヴル美術館。それもそのはず、同美術館はルイ14世がヴェルサイユ宮殿に居を移す1678年まで、ルーヴル宮殿としてフランス王家が利用していたのです。かつては12世紀に城塞として建てられたこの建物は、16世紀にフランソワ1世によって宮殿へとつくり替えられました。その後もアンリ4世、ルイ13世と歴代の王により3世紀近くにわたって改築・増築を重ねたため、バロック様式とルネサンス様式が入り混じった建築物となっています。

ルーブル美術館の夜景
ルーブル美術館の夜景

その後、1793年には美術館として生まれ変わり、王室のコレクションなどが展示されていました。1980年代には「大ルーヴル計画」として、大幅な改築を実施。展示スペースを2倍に増設したほかに、映画『ダ・ヴィンチ・コード』にも登場したガラスのピラミッドを中庭に設置しました。ガラスのピラミッドは、巨大な面積を誇る同美術館へのメインエントランス。ちなみに、同作の小説版では、ガラスのピラミッドが「西洋で不吉な数字とされる666枚のガラス板が使われた」という旨の記述がありますが、実際にはそれ以上(一説では673枚)のガラス板が使われているそうです。

宮殿のような伝統的な建築物と、ガラスのピラミッドのように現代的かつ革新的なデザインの建築物が共存することに対して、計画当初は批判もありましたが、現在ではその2つが共存する景観の美しさから、観光名所の一つとしても親しまれています。

絶えず変化し続けるルーヴル美術館

(C) Thomas LAUNOIS - Fotolia.com
(C) Thomas LAUNOIS - Fotolia.com

ルーヴル美術館では、開館から200年以上がたった現在も伝統に縛られることなく改装を続けており、2012年には新しい展示スペースを開設する予定です。また、同年オープン予定の「ルーヴル・ランス別館」は、「金沢21世紀美術館」や「ディオール表参道」を手掛けた日本の建築チーム「SANAA(サナア)」が設計を担当しています。

その膨大なコレクションの数から、展示されているすべての作品をじっくり見てまわるには約1週間かかるといわれているルーヴル美術館。このまま施設が拡大し続けたら、いくら時間があっても足りなくなってしまうかも?しかし、その規模の大きさや長きにわたる歴史こそが、同館が世界三大美術館たる所以(ゆえん)でもあります。

なお、ルーヴル美術館は、震災にあった日本への「連帯の気持ちを伝えたい」との思いから「東北三都市巡回展」を開いており、7月22日までは宮城県美術館、同28日から9月17日までは福島県立美術館で、絵画や彫刻など20点以上の美術品のすばらしさを日本にいながら堪能することができます。

伝統と革新を調和させながら、絶えず変化してきたルーヴル美術館。「全ての人に開かれた美術館」という理念のもと、これからも世界中の人々を魅了し続けていきます。

映画『ダ・ヴィンチ・コード』では、物語冒頭の重要な舞台としてルーヴル美術館が登場します。同美術館で映画の撮影が行われたのは、同作が初めてのこと。同作には、イギリスにあるリンカーン大聖堂など、歴史ある建物が複数登場します。過去に見た映画を「建築」という視点で見直し、新しい映画の楽しみ方を味わってみてください。

●ルーヴル美術館へのアクセス
1. オルリー空港からのアクセス
近郊急行鉄道網RER C線シャン・ド・マルス‐トゥール・エッフェル方面行き(direction Champs de Mars-Tour Eiffel)に乗車し、サン・ミッシェル−ノートル・ダム駅(Saint-Michel Notre-Dame)で下車。 セーヌ川沿いの通り(Quai des Grands Augustins)にあるバス停留所サン・ミッシェル(Saint-Michel)で、サン・ラザール(Saint Lazare)行きの27番バスに乗り、ピラミッド前の停留所ミュゼ・デュ・ルーヴル(Musée du Louvre)で下車。

2. シャルル・ド・ゴール空港からのアクセス
近郊急行鉄道網RER B線パリ市内方面行き(B2またはB4)に乗車し、シャトレ・レ・アール駅(Châtelet les Halles)で、地下鉄1番線または14番線に乗り換え。 地下鉄1番線を利用する場合は、パレ・ロワイヤル/ミュゼ・デュ・ルーヴル駅(Palais-Royal/Musée du Louvre)で下車。 地下鉄14番線を利用する場合は、サン・ラザール(Saint-Lazare)行きに乗り、ピラミッド駅(Pyramides)で下車。

【住所】
Musée du Louvre, 75058 Paris - France

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