ココジカ

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新しい楽しみ方を知る 春の紅茶入門

Vol.77 / 2018, 03

イギリスにお茶をもたらしたのはポルトガル人

ヨーロッパにお茶がもたらされたのは17世紀。1610年、オランダの商船が中国の半発酵茶(烏龍茶の一種)と日本の平戸から緑茶を運んだと文献に記されています。1662年にポルトガルからイギリスのチャールズ2世に嫁いだキャサリン王女が紅茶や砂糖を大量に持ち込み、イギリスの貴族社会に東洋趣味のお茶の習慣を流行させたと言われています。

1841年になると、イギリス東インド会社の植民地だったインドの北西部ダージリンの長官が、自宅の庭で茶の木の栽培に成功。当時中国からお茶を買っていたイギリスは、大規模な茶園をつくり、ダージリンを世界有数の紅茶生産地に変えていきました。イギリスにとって中国の茶、インドのダージリンとアッサムの紅茶は最も重要な貿易品であり、高価な紅茶に高価な砂糖をたっぷり入れて飲むことができる身分というのが、富と権力の象徴だったわけですね。

紅茶

日本人が活躍するプレミアムな紅茶の世界

お金持ちしか紅茶が飲めない時代が続く1890年、食品商として成功を収めていたリプトン氏は、自分なら加工や流通を改革し、誰もが上質な紅茶を手軽に楽しめるようにできると、セイロン島(スリランカ)に広大な農園を購入。イギリスでも有数のティーブレンダーを雇い、何百回と試作を繰り返して「オリジナルブレンド」を完成させ、味や品質の安定した紅茶を従来の半額以下で提供することに成功しました。リプトン氏はイギリスで庶民に紅茶を広めただけでなく、イギリスの主要な輸出品ともなり、ヴィクトリア女王から「サー(騎士の爵位)」の称号を授かったのです。

ティーサロンギンザには、紅茶の歴史のミニ展示もあります。
ティーサロンギンザには、紅茶の歴史のミニ展示もあります。

ちなみに現在の「サー・トーマス・リプトン」もマスターブレンダーが品質を厳しくチェックしています。そのマスターブレンダーのトップ10人のうちの1人が、江間 俊也さんという日本人なのだそう。江間さんが監修し、神戸開港150周年イベントで発表された「ワインのように紅茶を楽しみましょう」という日本発の提案は、日本人の繊細な味覚や鮮度へのこだわりと紅茶文化の新しい融合なのかもしれません。

紅茶のノンアルコールカクテルで 夜を楽しむのも粋なもの

紅茶の香りを嗅ぐだけで脳がリラックスし始め、飲み終わるとさらにリラックスが深くなるという実験結果があります。ロンドンでは、アルコールが飲めない人も仕事帰りにパブでくつろげるよう、紅茶を使ったノンアルコールカクテルを出す店があるそうです。「サー・トーマス・リプトン」のホームページでは、ブレンダーおすすめのティーカクテルのレシピを紹介中。ぜひおうちで試してみては?

「すっきりさわやか、引き締まった味わい」シャンパンティーカクテル

「すっきりさわやか、引き締まった味わい」シャンパンティーカクテル

「ほんのり酸味があるすっきりとした味わい」キウイモヒートティーカクテル

「ほんのり酸味があるすっきりとした味わい」キウイモヒートティーカクテル

コラム2:紅茶と緑茶は同じ樹!?

紅茶と緑茶は同じ樹

紅茶、ウーロン茶、緑茶も元は同じツバキ科の常緑樹で、学名「カメリアシネンシス」という樹です。紅茶、ウーロン茶、緑茶の違いが生まれるのは製法、酸化発酵の度合いです。紅茶は摘んだ生葉をしおれさせて、機械にかけて揉み、十分に酸化発酵させて作るため「発酵茶」といわれています。一方、ウーロン茶は半発酵茶、緑茶は不発酵茶です。

子どもの頃から親しんでいる黄色いティーバッグの「リプトン」。日本には明治40(1907)年に進出していたそうです。先人たちの智恵と努力によって、私たちが豊かな食文化を楽しめていることに感謝し、あらためて紅茶をもっとおいしく、ていねいに楽しもうと思った取材でした。

InformationInformation

サー・トーマス・リプトン ティーハウス ギンザ
所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座1-3-1 銀座富士屋ビル2F
電話番号:03-3535-1105

サー・トーマス・リプトン ティーハウス ギンザ

今回ご紹介した「ティースティング」クラスの他にも、英国での紅茶のマナーや、抽出のゴールデンルール、ティーパーティーの開き方講座まで、さまざまなクラスが開講されています。日本ではここでしか手に入らない、最高級の「クオリティーシーズンティー」なども購入できます。

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。