ココジカ

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江戸城があったかもしれない街 馬込散策

Vol.80 / 2018, 06

馬込には、江戸城にまつわる逸話が残されています。15世紀中頃、なんと太田道灌が江戸城の候補地に馬込を挙げていたというのです。丘や谷が入り組んだ地形が、難攻不落の城を築くには相応しいと判断されました。結局、築城の話は幻と消えてしまいましたが、その理由として馬込は「九十九谷」と呼ばれていたことから、「百に1つ足りない」として、道灌が験を担いだからだといわれています。谷があと1つあれば、日本の中心地であったかもしれません。逸話の残る馬込界隈を散策してきました。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.80
散策経路マップ

鉄道ファン垂涎 道々女木橋(どどめきばし)

この日の散策は、都営浅草線「西馬込」駅南口がスタートです。国道一号線(通称:第二京浜)沿いを川崎訪問に5分ほど進むと、最初の目的地である「道々女木橋(どどめきばし)」(南馬込6-35-11)が見えてきます。

道々女木橋(どどめきばし)
道々女木橋(どどめきばし)

「道々女木橋」は都交通局馬込検収車場の上に掛かる陸橋。1969年供用の全長119.8mの長い橋で、鉄道ファンの間では有名な観察ポイントになっています。この日も既にカメラを構える先客がいました。留置線にずらりと車両が並ぶ光景は、まさに圧巻です。

留置線にずらりと車両が並ぶ光景

まるで、ジオラマを見ているよう。都営浅草線の車両に紛れて見たことの無い車両を見つけ、気になって調べてみると、平成30年6月30日から営業運転を開始する新型車両「5500形」であることが判明しました!(写真右側)これから新型車両へ随時置き換わっていくそうですが、一足早く新型車両を見ることができ、なにやら得した気分です。

E5000形電気機関車

こちらE5000形電気機関車は、2005年に登場した日本の地下鉄史上初の機関車。大江戸線の電車を走行方式の異なる浅草線の馬込車両基地へとけん引するために製造されました。よって、客車も貨車もありません。普段は見る機会のない車両を見られるなんて、鉄道ファンでなくとも面白いです。

大田区屈指の桜の名所 馬込桜並木通り

道々女木橋を渡り終えると、辺りには閑静な住宅街が広がります。結構な段数を上ってきたというのに、下るための階段はなく、周辺が高台になっていることがわかります。しばらく歩くと「貴船坂(きぶねざか)」(池上1-6~中央5-7)という坂道に交差しました。「貴船坂」は、本門寺公園の中にあった東之院の貴船明神にちなんで名づけられ、周辺からは本門寺の緑を望めます。

貴船坂

ここから歩くことしばし、桜の木が100本ほど植樹されている、通称「馬込桜並木通り」(南馬込4-9~38)に突き当たりました。

馬込桜並木通り

こちらの桜並木は1953年に地域の有志達が集まって、100本のソメイヨシノの苗木を植樹したことが始まりといわれています。以来、今日まで「桜並木保存会」が先人達の思いを引き継いで、景観を守り続けています。
開花シーズンの美しさは言うまでもありませんが、整然と並んだ桜並木のおかげでできた木陰が日射を遮ってくれるため、夏でも気持ち良く歩けます。

ソメイヨシノ

「馬込桜並木通り」では、1991年から「馬込文士村大桜まつり」が開催され、毎年延べ1万5千人が訪れます。沿道には模擬店が軒を連ね、流し踊りや阿波踊り、「馬込文士村」と呼ばれたことに由来しての俳句大会など、様々な催し物が行われます。更に、開花期間中はライトアップがされ、夜桜が楽しめます。

緑豊かな憩いの地 佐伯山緑地

桜並木通りを過ぎると、大田中央四郵便局に突き当たります。右手の脇道に入ってしばらく進むと、小高い丘があります。丘に沿って一周すると「佐伯山緑地(さいきやまりょくち)」と書かれた看板を見つけました。

佐伯山緑地

「佐伯山緑地」(中央5-30-15)は、日本の医学博士で栄養学の創始者、佐伯矩(さいきただす)が設立した「栄養学校」の跡地。現在は、緑地として整備されています。

階段の端に木苺がなっていました。都内では珍しい野生種の植物を見回しながら階段を上がっていきます。

佐伯山緑地

丘の頂上からは、住宅地を一望できます。

佐伯山緑地からの眺望

「佐伯山緑地」では、枇杷の木に、紫陽花、ヤマアジサイ・・季節の花々を見ることができます。

紫陽花
紫陽花

一角に井戸を見つけました。古来から多くの湧水があったといわれる大田区らしく、古井戸は今なお健在。災害時に使用できるよう整備されています。

井戸

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