ココジカ

サンウッドより、暮らしを豊かにするウェブマガジンをお届けします。

Produced bySunwood

キリンビール横浜工場を見学してビールのうまさを再確認

Vol.64 / 2017, 02

「とりあえずビール!!」と言われて久しいビールですが、ビールがどのようにしてつくられているかご存知ですか?今回は、ビールができるまでの工程やこだわりを知ることができるキリンビール横浜工場「一番搾りうまさの秘密体感ツアー」をレポートします。ビール好きは更に好きになり、苦手だと言う方は興味が持てるようになるかと思います。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.64

工場見学を案内してくださった方

工場見学ガイド 葛野さん

ブルワリーツアーガイド 葛野さん

本日は、工場見学ガイド 葛野さんにキリンビール横浜工場をご案内いただきました。

工場見学の流れ

キリンビール横浜工場

キリンビール横浜工場

1.シアタールームでキリンビールの歴史とこだわりを知る
2.素材(麦芽とホップ)へのこだわり
3.仕込工程
4.発酵から出荷まで
5.試飲を楽しむ

キリンビール横浜工場へ

京急「生麦」駅から10分程歩き「キリンビール横浜工場」に到着。昨年10月にリニューアルされたばかりの綺麗な建物に入り受付で予約の名前を告げると、参加者用のバッチが配られました。今回の見学ツアーに参加するのは20名程度。伺ったのは平日でしたが、途中他のツアーグループとも何度かすれ違い、とても賑わっている印象でした。見学ツアーは大変人気があるそうなので、ご予約の際は早めに申し込みした方が良さそうです。

見学ツアーバッチ
見学ツアーバッチ
工場見学受付
工場見学受付

見学ツアースタート キリンビールの歴史を紐解く

工場見学ガイド・葛野さんの案内のもと見学ツアーがスタート、まずはシアタールームへ移動し、キリンビールの歴史を振り返る映像を視聴します。その始まりは開国後に遡ります。開港により西洋文化を広める発信地となった「横浜」。日本で初めてビール 醸造所として経営を成功させたのは、1870年設立のスプリングバレー・ブルワリーでした。 かつては外国人のみが住む居留地だった、横浜山手でビールをつくっていました。 この醸造所を経営していたウィリアム・コープランドは、日本人向けのビールをつくったり、 日本人にビール醸造を伝授するなど、日本のビール産業に灯をともしました。 このスプリングバレー・ブルワリーの跡地に新たな醸造所として設立され、ビールづくりを 始めたのが、ジャパン・ブルワリーです。

やがてこのジャパン・ブルワリーから「キリンビール」が発売されます。本場ドイツから麦芽・ホップなどの原料とともに機械設備や醸造技師を日本に呼び寄せ本格的なビールづくりを始めます。こうして作られたビールのラベルに東洋の想像上の動物である「麒麟」を描きその名も「キリンビール」と名付け発売したのが1888年になります。翌1889年に「麒麟」が大きく描かれるようになり現在のおなじみのラベルが使用されるようになりました。以後、「キリンビール」に描かれた聖獣「麒麟」の図柄は、他の同社商品にも使われるようになりました。

その後1907年、明治屋社長の米井源治郎がジャパン・ブルワリー・カンパニーを操業状態のまま引き継ぎ新会社を設立することを決意、三菱財閥と明治屋の出資などによって麒麟麦酒株式会社が創立されました。

1888年 キリンラベル
1888年 キリンラベル
1889年 キリンラベル
1889年 キリンラベル

一口メモ

ラベルの麒麟のたてがみや尾に「キ」、「リ」、「ン」の文字が隠れているのを知っていましたか!?
おうちにあるキリンビールで探してみてください。

シアターはテンポよく続き、いよいよ「一番搾りうまさの秘密体感ツアー」へ。
キリンビールが長きに渡り、いかにビールづくりにこだわってきたのかが伝わってくる内容となっていました。

醸造の哲学

100年以上に渡りビールづくりを行ってきたキリンビールには、醸造の哲学"醸造フィロソフィー"というものがあります。
1. ビールづくりは、生命体との対話である。
麦や酵母の生き物としての力、それが素材を醸し、おいしさを引き出してくれる。
2. ビールづくりは、芸術である。
確かな技術の上に感性が必要であり、おいしいビールをつくることはまさしく芸術とも言えます。

シアターの最後に一番搾りのCMに出演している嵐のメンバーからのメッセージがあります。
ファンの方は必見!?です。

原料へのこだわり

シアター終了後はエスカレーターを上がり、原料である麦芽とホップの展示コーナーへ移動しました。

大麦とホップ 展示コーナー

原材料(麦芽とホップ) 展示コーナー

ガイドの葛野さんから「こちらにございますビールの原料である大麦麦芽を実際に2,3粒程食べて見てください」との案内があり、ワクワクしながら初めて大麦麦芽を試食。食べ初めは香ばしいですが、よく噛んでいるとほのかな甘みを感じます。キリンビールで使用する大麦麦芽はキリンの厳しい基準を満たした二条大麦を使用し、一番搾り生ビールは通常のビールより1.5倍の量の麦芽を使っているとのこと。

続いて「ホップの匂いを嗅いでください」とあり、1つホップを手に取って匂いを嗅ぎます。そのままでは特に匂いはしないのですが、「割ってみてください」との案内の通り、ホップを割ってみると独特の匂いが漂います。これはホップの中にある黄色い粒「ルプリン」と呼ばれる物質の匂いだそうです。また、一番搾り生ビールに使用しているホップは、もっとも香りのよいチェコザーツ産の最高級ホップを使用しているとのことです。

二条大麦
二条大麦
チェコ産ホップ
チェコ産ホップ

一口メモ

一番搾り生ビールなどの黄金色のビールと黒ビールの違い知っていますか?
黒ビールは、原料となる麦芽をカラメル色になるまで焙煎(ロースト)します。
これにより独特な苦みと甘みが生まれるそうです。

ビールの製造工程

続いては、仕込用の大きな釜の展示スペースへ案内されました。この大きな釜にプロジェクションマッピングの映像が流れ、仕込の説明が始まります。(プロジェクションマッピングの様子は是非実際に見学ツアーでご覧下さい!)

仕込釜

仕込釜

釜ごとに役割は大きく4つに分かれます。

① 二条大麦の麦芽を煮込んでいき、酵素の働きによって「もろみ」という麦のおかゆをつくる。
② 「もろみ」の中のエキス分を抽出するため麦のからなどを取り除くろ過を行う。
③ 麦汁の中にホップを加え入れて煮込んでいく。これにより、ビール独特の苦みと香りが生まれる。
④ 麦汁の中に残っているホップのかけらなど余分なものを取り除く。

②の過程で最初に自然に流れ出たものが「一番搾り麦汁」になります。一般的なビールは、この後残っている「もろみ」にお湯を足して二番搾り麦汁を搾り出し、ブレンドして使っているとのこと。一番搾り生ビールは、「二番搾り麦汁」は一切使わず、最初に自然に流れ出る「一番搾り麦汁」のみを使います。

仕込工程で出来た「一番搾り麦汁」を良く冷やした後、麦汁の中にビール酵母を加え高さ21mの発酵タンクに貯蔵します。ちなみに横浜工場には129本の発酵タンクがあります。

発酵タンク

発酵タンク

一口メモ

発酵タンク1本で350mlビール缶148万本分のビールになります。
これを大人が飲み干すには、約4000年かかる量だそうです。

「一番搾り麦汁」と「二番搾り麦汁」の飲み比べ

「一番搾り麦汁」と「二番搾り麦汁」

次に、ガイドの葛野さんの案内のもと「一番搾り麦汁」と「二番搾り麦汁」の飲み比べを行いました。写真左側の色の濃い方が「一番搾り麦汁」、右側の色が淡い方が「二番搾り麦汁」になります。最初に「二番搾り麦汁」を試飲します。匂いはあまり感じず、ほんのりと甘いという印象です。次に「一番搾り麦汁」を試飲します。まず先程とは匂いから違い、こうばしい麦の香りを感じます。そして口の中に入れると、「あまっ!」と思わず口にしてしまうほど二番搾りとは別物という印象。他のもので例えるとすると、サツマイモのような甘さとこうばしさだと感じました。

ビール酵母の働き

酵母の働きの紹介

酵母の働きの紹介

続いて白いテーブルがある展示スペースへと移動し、ビール酵母についての説明を聞きました。ビール酵母の大きさは100分1mm(10μm)程度で、麦汁に含まれる糖分が大好物。ビール酵母は糖分を食べることによって麦汁をビールに変えてくれます。

そしてこの白いテーブルにちょっとした仕掛けが、ガイドの葛野さんから「みなさん、手で一番搾り麦汁のしずくの形を作ってみてください」と案内があり、??と思いつつも、写真のように手でしずくの形をつくると、テーブルに映った手の影にかわいいイラストの酵母があらわれます。この酵母が動きだし、アルコールと炭酸ガスをつくり出す様子が紹介されていきます。また、泣いている酵母も登場するのですが、ここは醸造技師の腕の見せ所で、醸造技師が酵母に合った温度や圧力に調節することによって酵母が働きやすい環境をつくり、おいしいビールをつくりあげていきます。

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。