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VR(バーチャルリアリティ)の世界は現実を超えるか

Vol.58 / 2016, 08

2016年は、VR(バーチャルリアリティ)元年と言われ、様々な形のVRを体験できるようになりました。現在のVRの主流は、視覚効果や音響効果による仮想空間での体験になりますが、これらの体験がスマートフォンでも簡単にできるようになったことがVR元年とよばれる理由のひとつかもしれません。そこで、VRとはどんな体験やどんなことに利用されているのかなどを株式会社PDトウキョウの谷川代表取締役社長にお伺いしました。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.58
株式会社PDトウキョウ 代表取締役社長 谷川 高義さん
お話しを伺った方

株式会社PDトウキョウ
代表取締役社長
谷川 高義さん

映像やCG(コンピュータグラフィック)、ディジタルコンテンツの制作等を行い、近年では、VR動画やVRコンテンツの制作にも力をいれる20年以上の歴史ある会社です。
http://www.pdtokyo.co.jp/

早速、VRの世界を体験しているYouTube動画をご視聴ください。

このVRを活用したゲームは、PDトウキョウが開発したCIRCLE of SAVIORS(サークルオブセイバーズ)のプレイ動画です。ゲームをプレイしている人だけではなく、ゲームをしていない人にも同じ世界を体験して楽しんでもらおうというコンセプトの元で開発が進んでいます。アミューズメントパーク等でもプレイできる日が来るかもしれません。

50年前からVRの開発は始まっていた

VRの歴史には諸説ありますが、実際に研究開発したのは、1968年にユタ大学の教授アイバン・サザランドと教え子によって、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用したVR体験が最初と言われています。その後、1989年にバーチャルリアリティの父とも言われるジャロン・ラニアー氏によってバーチャルリアリティと言う言葉が紹介され始めました。日本では、1995年に発売された任天堂のバーチャルボーイというゲーム機器が一般的になった最初のVRと言われていますが、普及には至りませんでした。

それが、2012年に登場したVR体験できるHMDのオキュラスリフト(Oculus Rift)の登場により再びVRが注目されるようになりました。2016年になるとPlayStation4に接続するPlayStationVRの登場やスマートフォンを利用して誰もが身近に体験できる環境が揃ったことでVR元年と言われるようになりました。

(手前がHMDタイムの3DVRメガネ、最奥が段ボールと同じ紙でできたハコスコ)

(手前がHMDタイムの3DVRメガネ、最奥が段ボールと同じ紙でできたハコスコ)

ひと口メモ1

メガネやお化粧をしていてもHMD(ヘッドマウントディスプレイ)はできるの?

メガネを先にHMD内に入れてから装着するなどの方法があるようですが、焦点合わせのつまみがついているのでメガネは外してから装着する方がよいでしょう。また、化粧がついたりするので抵抗を感じる方もいらっしゃいますがHMD用のマスク型シートをつけてくれるアトラクションもあるようなので確認してみてください。

VRとは味や香り、感覚も体験させてくれる

VRとは?と聞かれたときに何を想像しますか。ゲームやコンピュータグラフィックの中に自分がいるかのような視覚体験ができると思われる方が多いかもしれませんがそれだけではありません。VRは、実体験に近い感覚を植えつけるものであり、単なる文字の情報だけではなく、「情報を経験に変える技術」として様々な情報を体験してもらう事を意味しています。現在のVR技術は、画像+音声+深部感覚によりリアリティを生み出していますが、近い将来、味覚、嗅覚、振動、温度などにより認識される物理的な力を組み合わせて体感することでより現実に近い方向へ進むと考えられています。実際に、味覚や嗅覚を体験できる研究は進んでおり、スマートフォンに専用の香りの元を接続して花の香りを楽しんだり、焼肉が焼ける動画を見ていると香りの元からカルビやタン塩が焼ける臭いもしてくる商品が開発されています。

ひと口メモ2

VRは国連のキャンペーン活動にも活躍の幅を広げている。

国連は、より深い没入感を味わえるVRを利用し、シリアの現状を世界中に伝えるキャンペーンとして、少女が難民キャンプで過ごす様子を体験させる映像を公開しています。これによって募金・援助を促進させています。このように娯楽だけではなく、教育・社会問題などの分野でのVR活用も成長していくと考えられます。

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。