経営基本方針

取締役が会社を経営するにあたり、
その経営の基礎となる基本方針を掲載しています。
(※有価証券報告書の記載事項より一部抜粋)

1. 会社の経営の基本方針

当社は、「東京に感動を。人生に輝きを。」というビジョンを掲げました。そこに暮らす方、働く方、集う方が心をときめかせ、時を重ねながらそれぞれの人生の輝きを増していく舞台。私たちは、その舞台の一つひとつを、東京の街並みに丁寧に仕立てていきます。
私たちは、ビジョンの実現に向け、"価値のプラスワン"を追い求めながら、人と街と社会への責任を果たしていきます。
人への責任 :企業活動を通して出会う方、一人ひとりの喜びと幸せ、そして実りを、自分の事として追求していきます。
街への責任 :それぞれの土地や建物が秘める可能性を最大限に引き出しながら、百年先までも輝き続ける街並み創りをめざします。
社会への責任:全ての社員が心を一つにして、お客さま、株主、パートナー、社会に対する誠実さと透明性を高めつつ、その期待に応えていきます。
上記を行動指針とし、企業価値の拡大を図ります。

2. 目標とする経営指標

当社の経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標は、売上高、経常利益であります。中期経営計画(2023年3月期~2028年3月期)の初年度である2023年3月期の目標値及び実績値は下記のとおりです。

2023年3月期
目標値
2023年3月期
実績値
達成率 2028年3月期
目標値(参考)
売上高 18,240百万円 19,376百万円 106.2% 30,000百万円
経常利益 930百万円 1,655百万円 178.1% 2,100百万円

3. 中長期的な会社の経営戦略

当社は、経営理念の実現及び上記経営目標の達成、ひいては持続的な企業価値の向上を実現するために、以下の中長期的な経営戦略を進めていきます。

(1) 中核事業の強化による売上規模の拡大

  1. 新築分譲マンション事業の拡大・安定化
    当社は創業当初からブランドポリシーを遵守し、東京都心の良質な住環境の立地に、高品質なハイエンド物件にこだわりを持って分譲マンション開発を展開しています。ここ数年間の分譲マンションの供給数は年間2~4棟であり、1つの物件の販売状況が業績に与える影響は小さくありません。今後は毎年20億円(年間約1棟)ペースで事業規模の拡大を図ることで、業績の安定化を目指していきます。
  2. 新築収益不動産の開発強化
    当社の事業用地情報の中には、良質な用地でありながらも、マンション分譲事業としては開発が困難な情報も含まれており、これまではそのような事業用地の仕入れを行っておりませんでしたが、新築分譲マンション事業で培った経験を活かし、新築商業ビル「WHARFシリーズ」としての開発を本格化させました。こちらを一棟収益物件として販売することで、新たな収益の柱とし、売上規模の拡大に寄与しております。
  3. 不動産再生事業の展開
    不動産情報としては、開発可能な土地情報のみならず、中古不動産の情報も多く取得しおります。その情報を活用し、中古不動産を取得後、価値を高め再販する事業にも力を入れております。中古不動産は改修等の期間が短く、取得から販売までの期間が短くなるため、不動産開発事業に比べ安定的な事業であると認識しております。この事業を組み合わせることで売上の安定化を図っております。

(2) 収益力の強化
直近の事業環境において、土地の値上がりや建築費の高騰といった問題が生じておりますが、不動産市場の好転もあり、収益を確保しております。しかし、世界情勢等による将来への不透明感もあり、今後収益を確保するためにはコスト管理はより重要度を増しております。人材の育成・確保、生産性の向上、DX推進等により、売上規模拡大に対してコストの上昇を抑えることで収益力を強化してまいります。現在、分譲マンションの販売に関しては、販売拠点を集約する等の対策を進めております。

(3) 顧客満足度の向上
新規に販売する物件においては物件の付加価値を高めることで顧客満足度を高めて参ります。
これまで販売してきた既存のお客さま(当社分譲マンションの購入者)に対しては、「サンウッドオーナーズ倶楽部」の運営を通じて、カスタマーサービスのより一層の強化を図り、ご入居後の全てのご相談はもちろんのこと、リフォームやハウスクリーニング、お住み替えの仲介のご相談に責任を持って承っております。この様な取り組みを通して全てのお客さまの満足度を高めて参ります。

4. 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、当事業年度を初年度とする6か年を対象とした中期経営計画を策定しております。「中核事業の強化」「収益構造の改善・最適化」「強固な経営基盤の整備」を3つの柱とし、2028年3月期の売上高300億円、経常利益21億円の目標達成に向け、以下の取り組みに注力してまいります。

(1) 中核事業の強化
当社の中核事業である分譲マンション事業の拡大のため、積極的な事業用地取得を進めております。都心エリアのマンション事業用地の取得競争は激しいため、用地情報ルートの確保には一層の強化に努めております。これまで当社が積み上げてきた富裕層向けの分譲マンション事業のノウハウの活用はもちろんのこと、資本業務提携を締結した京王電鉄株式会社及び京王グループ各社とのシナジーの活用により、事業規模の拡大及び供給数の増加を推進してまいります。大規模な物件に関しては共同事業等も活用し、リスクの逓減を図ります。また、社会的ニーズが高まっているマンション建て替え等にも注力しております。当社の得意とする商品の供給が可能な事業用地であれば、マーケティングや企画を踏まえ、積極的に取得することで新築分譲マンション事業の拡大・安定化を進めてまいります。

(2) 収益構造の改善・最適化
当社の分譲マンション事業用地情報の中には、商業ビルや賃貸マンション等の収益物件に適した事業用地も散見されるため、分譲マンション事業で培った開発・企画力を活かし、新築収益不動産(WHARFシリーズ)の開発事業も積極的に行っております。直近の取引としては高い利益率を確保しており、分譲マンション事業を含めた「不動産開発事業」として、当社の主力事業と位置付けています。しかし、不動産開発には少なくとも2年程度の期間を要するため、市場や経済の変化による影響を受ける可能性があります。そのため、中古不動産のバリューアップを行い再販する「不動産再生事業」にも注力しております。不動産開発事業に比べ利益率は低くなる傾向がありますが、資金が短期間で回転するため市場変動リスクが小さく、建築費の高騰等による影響も限定的であるため、安定的な収益確保が見込めます。このように様々な事業を掛け合わせ、収益の最適化を進めてまいります。

(3) 強固な経営基盤の整備
当社は、持続的な成長によって企業価値の最大化を図ることを目標としております。これを実現するため、生産性の向上、人的資本の最大化、そして次世代経営層の育成等を進めてまいります。中期経営計画の達成に向けては、人材の確保は喫緊の課題であるため、優秀な人材の育成・採用に向け、人事制度の刷新に取り組んでおります。また、優秀な若手の重要ポストへの登用等も含め、将来的に経営層を担う人材の確保に注力してまいります。

(4) 新たな取り組み
中期経営計画の実現性を高めるため、新たな取り組みも積極的に進めていきます。直近としては、不動産ファンド事業の企画を開始します。当社のノウハウや京王電鉄株式会社及び京王グループ各社のシナジーも活用し、東京23区を対象により良質な賃貸マンションの供給を行っていきます。投資家の優良な投資機会の提供や、将来の新築分譲マンション購入者層への商品力の体験にも繋げることにより中核事業も強化しながら、今後の新たな事業の柱へと成長させていきます。

5. 事業等のリスク

経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 不動産市況、金利動向及び税制等の影響について
分譲マンション市場は、景気動向、金利動向、新規供給物件動向、不動産販売価格動向、住宅税制等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や大幅な金利の上昇、あるいは供給過剰による販売価格の下落等、これらの情勢に変化があった場合には、購買者のマンション購入意欲を減退させる可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) 資金調達について
新築分譲マンション事業は、事業用地の取得から顧客への引渡しまで概ね2~5年程度の期間を要します。事業用地取得資金等を主に金融機関からの借入金によって調達しておりますので、当社の借入金残高は、総資産に対し高い割合となっております。また、借入金の返済原資は主に物件の売却代金であり、物件売却が販売計画から遅延した場合には、資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
従いまして、資金調達、販売、金利等の状況に急激な変動が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 事業用地の仕入について
当社は事業の発展に資するため、都心部を中心とした事業用地の取得を進め、成熟した都市住宅環境に適合した新築マンションの開発・分譲に努めております。当社における事業遂行の成否は、有望な事業用地の取得に依拠しており、十分な不動産関連情報の入手および適正な価格での事業用地仕入の動向が大きく影響します。
今後何らかの事情により不動産関連情報の入手および適正な価格での事業用地仕入が困難となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(4) 当社の売上の変動について
当社は、会社規模が小規模であり、新築分譲マンション事業においては年間10物件以下の引き渡しにとどまっております。このため物件の引渡し時期や成否によって、季節的な変動及び年度間の変動が大きく生じる傾向があります。また、用地の取得後に各種状況の変化に応じて、建築工事に着工せず事業用地として、あるいは建物を建設した上で土地付建物として売却する場合があり、当初計画との間にかい離が生じる場合があります。
売上を平準化するよう努めておりますが、季節又は年度による集中度合によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(5) 建築工事の外注について
当社のマンション建築工事におきましては、主に建設業者との間で工事請負契約を締結し、工事を外部に発注しております。建設業者の選定にあたっては、施工能力、施工実績、財務内容等の社会的信用力等を総合的に勘案したうえで行っております。また、工事着工後においては、施工者、設計者による管理に加えて、当社に在籍する建築士が工程ごとの管理を実施すること等により工事遅延防止や品質管理に努めております。しかし、建設業者の経営不安、品質問題、天変地異や事故等の理由によって計画どおりの建設に支障をきたした場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(6) 不動産関連法制について
当社の属する不動産業界は、「国土利用計画法」、「宅地建物取引業法」、「建築基準法」、「都市計画法」等により法的規制を受けております。当社は不動産業者としてこれらの規制を受け、「宅地建物取引業法」に基づく免許を取得し、不動産販売、不動産受託販売及び関連事業を行っております。今後上記の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(7) 契約不適合責任および訴訟等の可能性について
不動産販売においては、法令で新築物件では10年間、中古物件では原則として2年間の契約不適合責任を負うことが定められております。当社では上記のとおり品質確保に努め、新築物件においては住宅瑕疵担保保険の加入をするなどの体制を整備しておりますが、販売する物件に何らかの瑕疵が発生し、当社の契約不適合責任が問われる可能性があります。
また、当社が開発・分譲するマンションにおいて、当該近隣地域の日照・眺望問題等の発生に起因する開発遅延や分譲後における瑕疵等を理由とする訴訟や計画遅延等が発生する可能性があります。
これらの問題が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(8) 個人情報について
当社では、営業活動に伴い様々な個人情報を取り扱っているため、内部の情報管理体制の徹底により個人情報の保護に注力しておりますが、不測の事態により個人情報が漏洩した場合等には、損害賠償費用の発生や当社の社会的信用の低下等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(9) 京王電鉄株式会社との関係について
当事業年度末において、京王電鉄株式会社は当社議決権の21.55%を保有する当社の筆頭株主であり、当社は同社の持分法適用関連会社であります。同社とは資本業務提携契約を締結しており、不動産開発事業における共同事業などの取引関係や、同社取締役1名が当社の社外取締役に就任するなど、同社とは友好的な関係を構築しております。今後も両社の事業協力等による相乗効果によって、企業価値の最大化が期待できますが、同社は当社に対して相応の株式を保有していることから、当社の筆頭株主として議決権行使等により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあり、同社との関係に今後何らかの変化があった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

loading...